高知県水産試験場実験結果
 NHK朝の列島ネットワークで放映  『バイオコロニ−』の実験風景 同放映
 
     『バイオコロニー』撒布による底質改善試験報告書
 担当者
 高知県水産試験場
 場 長    田 善久
 漁場環境科長 村田  宏
 技 師    土居  聡
  技 師    岩崎 健吾
 高知県中央漁業指導所
 技 監    谷口 道子
 改良普及員  西 山 勝
   以下の内容は高知水産試験場『バイオコロニー』撒布による底質改善試験報告書の一部を掲載
T.試験の目的
近年浦ノ内湾では、水質及び底質の悪化が進行し、赤潮の発生や貧酸素水に人為的に
負荷され海底に推積した有機物が深く関わっていると考えられ底質環境の改善が必要と
されている。この対策としてこれまでに覆砂や通気法等の試みがなされてきた。
また、近年は細菌を主成分とする底質改良剤もいくつか開発されている養殖漁場におけ
る使用例はわずかであり、その効果について十分な知見がない。
『バイオコロニー』は枯草菌と呼ばれるBacillus subtilsを主成分とする底質改良剤の
一つであるが、平成2年に浦ノ内湾で湾内の漁協が中心となって養殖場周辺に散布を行い、
散布を行った場所では、底土表浮泥が著しく減少する等の効果がみられ、養殖場におけ
る底質改善に有用である可能性が示された。
U.要約
長年にわたる給餌養殖によって汚染の進行した浦ノ内湾において、主に養殖場周辺の底
質環境を改善することを目的として細菌を主成分とする底質改良剤『バイオコロニー』に
よる底質改善試験を行った。
浦ノ内湾湾中央部光松において養殖小割直下の水質及び底質の事前調査を行った結果、
小割直下では底泥中の硫化物量が高く、汚染が著しいことが明らかになり、また小割直下
の底泥の状態は、養殖時期や漁種類等の状況と密接に関連していた。
事前調査の結果から、現場試験のための散布区域と対照区域を2小割ずつ選定し7月16
日と29日に『バイオコロニー』の散布を行い、試験区域において5月から10月まで水
質及び底質について調査した。
 
散布濃度は300g/uと600g/uの2通り設定した。『バイオコロニー』散布後は、散布
区において直上水中のT-S、及びNH4-N濃度の減少が認められ、これらは『バイオコロニ−』
の散布効果による可能性が高いことが示された。
又、散布後は底質についても硫化物量、有機物量の減少が認められた。『バイオコロニー』
の散布効果と考えられた。
300g/u散布区と600g/u散布区を比較すると、硫化物、有機物量の相対的な減少量は
600g/u散布区の方が多かった。
現場試験に併せて、底泥に魚肉をモデル基質として加えた底泥モデルを用いて『バイオコロ
ニー』の添加量と改善効果との関係をみるため室内実験を行った。
室内実験では『バイオコロニー』添加区において現場試験でもみられた底泥からのT−Sと
NH4−Nの溶出が抑制されるのが認められ、また強還元状態でもその活性を失わず、封鎖
的な内湾養殖漁場での底質浄化に、非常に有用である可能性が示された。