微生物添加で成長促進
                                     高知大学農学博士 西島 敏隆
養殖にともなって漁場環境に負荷される他の汚染物質として養殖魚が排泄する糞がある。
魚類養殖の場合、摂餌量の約1/4が成長(増重分)に使用され、残りは糞や排泄物として
水中に負荷されると推定される。
ここでは、微生物を養殖魚の餌に添加して給餌し、排泄される糞の分解を促進させる試みに
ついて述べる。
浄化剤としてBsubtilisをフスマに付着させたものを用い、ハマチ養魚を約90日間飼育し
て、定期的に試験魚を取り上げ、飼育魚の成長を追跡すると共に、糞を採取してその蛋白質
及び炭水化物分解活性を測定した。
ハマチの餌として配合飼料及び真鰯を1:1の割合で含むモイストペレットを用い、これを
フスマに付着タイプの微生物を1〜3%の割合で添加して給餌した。
 
 高知大学 西島 敏隆博士 (微生物による汚濁養殖漁場浄化の試み。本文から抜粋)
                                            
                                         写真は西島敏隆博士よりご提供
                                                   
 浄化剤を給餌したハマチ幼魚の成長は、本文図3に記載のとおり、飼育開始20日頃
 から浄化剤を添加しない対象区の成長を上回り、飼育終了時には浄化剤細菌添加区の
 魚体重は対象区に比べて上回り、飼育終了時には浄化剤細菌添加区の魚体重は対象区
 に比べて約9,4%重くなった。(上の写真)
 このことから、本浄化細菌を餌とともにハマチに投与しても成長に悪影響を与えるこ
 となく、飼育の比較的初期にハマチの成長が著しく促進され初期の差が飼育終期まで
 持続ずることがわかった。
  現在多くの飼料生産会社で使用され、養殖魚類の発育促進効果と歩留まりアップに
  使用されています。