月刊養殖の記者が養殖業者に直撃インタビュ−養殖場に浄化剤を散布するだけで
ブリの歩留まりが、モジャコからの生存率95%程度を維持できている。 
2000年6月号 2000年7月号 2003年6月号掲載    ヘドロ浄化剤 「バイオコロニ−」
浄化剤撒布前の海底は白カビが発生していた。  3ケ月後の海底はヘドロが浄化され白カビも消滅。
予想以上に汚れた海底に底質改良剤散布を決意
底質改善は、協議会に所属する養殖業者が「自分たちの漁場は自分たちで守っていく」
という意義の下、協議会が自主的に取り組んいる活動だ。
予想以上に汚染が進んだ生け簀下の海底の環境を回復するために始められた。
海底の汚染状況を知ったのは、生け簀を係留する綱が切れ、潜水士に修理を依頼した
時だった。修理のために生け簀下に潜った潜水士が見たのは、汚いヘドロが溜まった
海底であった。「海底はとても魚が住めるような状態ではなかった」という潜水士の
言葉に養殖業者は強い衝撃を受けた。
漁場環境の悪化が進行する前に手を打たなければならない。そうした思いから協議会
は平成7年10月に最初の底質改良剤の散布を実施した。平成9年は散布を行わなか
ったが、それ以外の年は底質改良剤の散布を続けている。平成8年からは村役場と米
水津村漁協が協力するようになった。 
底質改良剤としては『バイオコロニ−』 有限会社バイオ化研社製を使用している。
『バイオコロニ−』は、汚泥を分解することを目的とした生菌剤。通性嫌気性の細菌
で最適温度18℃〜40℃、最適PH6,0〜8,4特性がある。使用の際は、メーカが指定
する量を各業者が生け簀の規模に応じ、生け簀周辺に直接散布している。
  養殖漁場の浄化で歩留まり95%を維持
底質改良剤散布の結果魚病が減少し業者も納得
協議会では、改良剤の散布による影響を調べるために海底の様子をビデオに録画している。
海底の水質、底質、生息する生物の様子を記録し、状況の変化を把握するために使用して
いるそうだ。
このビデオから、海底の状態を見た。まず、改良剤散布後2週間経過した海底を撮影した
ビデオから、画面に映し出されるのはヘドロに覆われた海底。泥を手に持つと粘った感触
をしており、底質中に手などを差し込もうものなら埋没してしまう。又、水質の汚れで遠
くまで見渡すことが出来ない。
続いて、改良剤を散布してから3ケ月後の先ほどと同じ地点を撮影したビデオを見てみる、
するとどうだろう。観察地点を示す看板の下のヘドロは減少し、埋もれていた貝殻が見え
るようになっている。手に持つとぱらぱらとほぐれる。ビデオを見る限り、海底の様子は
変わっていた。生息する生物にも影響がでており、3ケ月後のビデオには真鯛(天然魚)
が遊泳する姿が映し出されていた。
改良剤散布の手応えは、養殖業者も肌で感じている。「最近ブリの歩留まりが良く、モジ
ャコからの生存率が95%程度を維持できている。
「真鯛養殖で白点病が大発生し悩んでいたが、最近被害が少なくなり、薬を使う機会が
減った。」など、飼育環境が改善されたという意見が多い。
「バイオコロニー」撒布前の海底は白カビが繁殖 3ケ月後の海底は貝殻の下にウニが生息。