運輸省第三港湾建設局室内実験結果 | ![]() |
〜 底質浄化工法検討調査報告書 〜 |
底質浄化工法実験者 (順不同・敬称略) |
委員長 村岡 浩爾 大阪大学大学院工学研究科教授 |
委 員 深見 公雄 高知大学農学部栽培漁業学科教授 |
委 員 矢持 進 大阪市立大学工学部環境都市工学科助教授 |
委 員 加藤 英夫 運輸省港湾技術研究所機械技術部浚渫埋立研究室 |
委 員 土田 孝 運輸省港湾技術研究所土質部土性研究室長 |
調査目的 |
現在、陸域では有効微生物を使用したバイオ技術による浄化システムが、化学的処理の |
代替手段として上下水道、池・湖沼・河川などで取り入れられており、緩やかな浄化効果 |
と周辺環境への影響が小さいことがその特徴とされている。一方、海域における水、底質 |
浄化の方法としては汚泥除去、覆砂などが実施されているが、バイオ技術による浄化シス |
テムは未だ試行的に行われているのが現状であり、大規模に適用された事例はない。 |
そこで本調査では、平成10年度における調査結果等を踏まえ、陸域の土壌浄化や淡水 |
域での水・底質浄化や淡水域での水・底質浄化に既に適用されているバイオ浄化システム |
を、海域に適用する場合の可能性等について検討することにした。 |
すなわち、海域の底質を対象としたバイオ技術による浄化システムの適用可能性について |
浄化効果と経済性等の面から検討評価し、その浄化システムを適用した施工法の開発に資 |
することにした。 |
また、本調査では、これらの調査、検討結果等を踏まえ、実際の海域への適用が可能と考 |
えられた3件の技術、工法について、特にその底質浄化効果等について確認するため、 |
実験上の課題等を洗い出すこと等を目的として、これらを用いた底質浄化に関わる室内実 |
験を行った。 |
底質浄化技術・工法の内容 | |||
工法名称 | 底質改良剤 『バイオコロニ−』 | ||
会社名 | 有限会社バイオ化研 | ||
微生物種(類)名 | Bacillus subtilisの強力な変異菌の群居体 | 使用方法 | モルデナイト系ゼオライトに種付け |
施工方法 | 底質改良剤を船上から直接散布 | ||
実海域での適用条件 | ヘドロの堆積量に応じて20kg〜40kg/100u | 使用頻度 | 1回/3ケ月〜7ケ月 |
微生物の条件 | 好気性・通性嫌気性の両性を示す。 | 温 度 | 7度〜48度(最適値18度〜40度) |
pH | 4,5〜9,9(最適値6,0〜8,4) | 爆 気 | 有ればする無ければしない |
栄養源の添加 | なし | 石灰など | 使用しない |
その他 | 1袋20kg入り | 最適DO値 | 5mg/L |
技術のレベル | 実用化 | ||
副次的な影響 | B.subtilisに病原性は認められていない。 | ||
実 績 | 熊本県天草郡松島町地先あさり漁場(阿村漁協 1990) 鹿児島県姶良郡加治木町鹿児島湾あさり漁場(錦海漁協 1991) 佐賀県東松浦郡玄海町仮屋湾底質浄化(仮屋漁協 1992〜2003) 愛媛県宇和島市蕨湾における底質浄化(宇和島漁協 1994) 大分県南海部郡蒲江町真珠養殖場底質浄化(蒲江漁協 1998) その他100漁協以上 |
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資料など | ・生菌配合 ヘドロ浄化剤 『バイオコロニ−』(有限会社バイオ化研) ・パンフレット(有限会社バイオ化研) ・西島 敏隆「微生物による汚濁養殖漁場浄化の試み」 J.Antifumg.Agents voI.1.26,No2、p.79-83(1998) |
平成12年3月、運輸省・第三港湾建設局・神戸機械整備事務所と(財)港湾空間高度化 |
センタ−が実施した。 |
港湾、干潟などにおける微生物を利用したバイオ技術の環境汚染浄化対策として、日本の |
微生物関係会社21社が応募した結果、当社の底質浄化剤 『バイオコロニー』の開発技術 |
と、その優れた浄化能力が高く評価されました。 |
○ 工法名称 底質改良剤『バイオコロニー』 |
微生物(種類)和名 枯草菌:Bacillis subtilisの強力な変異菌の群居体 |
モルデナイト系ゼオライト(5φo)Β.subtilisを吸着加工した浄化剤を海面から撒布し |
この菌の機能を利用して、底質改善・水域浄化をはかる。 |
使用方法 |
B.subtilisは、海底のヘドロ成分(アンモニア、亜硝酸、硝酸、硫黄化合物、硫化水素 |
等)を分解除去し、その結果、容存酸素量が増加する。 |
ゼオライトには、吸着作用があり、海底の硫化化合物(アンモニア、亜硝酸、硝酸、硫化水 |
素、黄化合物等)を吸着し水質を安定化するとともに、イオン交換作用が有り、汚水に対し |
て浄化作用が認められている。 |
○ 室内実験結果のまとめ |
『バイオコロニー』では2本のカラムに1ヶ月目以降多量の環形動物の発生が確認された。 |
環形動物が発生したカラムではpHが低下する傾向である。 |
また、カラム水のDOC、T-N、DIN濃度はこれら環形動物が発生したカラムで多量に |
上昇する傾向にある。これは環形動物の活発な代謝活動が行われていることによると考え |
られる。また、環形動物の摂餌活動により底泥の土粒子性状が変化し、泥の強熱減量T-C |
、T-N、T-P有量がコントロ-ルに比べ少ない傾向となっている。 |
委員会の先生方が悪化した環境浄化に対して、今までの環境改善事業の工法を元に予算を |
算出された結果、『バイオコロニー』の優れた浄化能力と経済性までも高い評価を受けま |
した。 |